スズキ エブリイPC 64V
2025.12.06
経営
近年の物価高騰によって、軽貨物ドライバーの負担は確実に増している。燃料費、車両価格、保険料……どれも直接ドライバーが支払う経費であり、管理会社が肩代わりすることは基本的にない。
しかし、委託費(ドライバー報酬)が据え置かれたままでは、
という負の連鎖が起こり、欠車・品質低下という形で管理会社自身の経営リスクへ跳ね返ってくる。
つまり、軽配送会社にとって運賃交渉とは、単なる値上げ交渉ではなく、安定稼働を守る“経営戦略”そのものである。
本記事では、現場で実際に使える実践的な運賃交渉術を体系的にまとめる。
運賃交渉が苦手な会社ほど、原価計算が曖昧になりやすい。軽貨物業界は約99%が業務委託ドライバーという構造上、管理会社の負担とドライバー負担を分けて考える必要がある。
(これらを“資料に盛り込む”ことで値上げの説得力が高まる)
委託ドライバーの経費上昇は、管理会社の採用力・維持力と直結しているため、運賃交渉の根拠として非常に強い材料となる。
交渉は勢いではなく、プロセスで決まる。
赤字・低利益・優良案件を分類し、どこから改善すべきか優先順位をつける。
荷主は単に「安く運びたい」わけではない。多くの場合、
などの“裏側の悩み”を持っている。ここを把握すると交渉が一気に通りやすくなる。
例:
“現場の声”と“数字”の両方が揃うと説得力が跳ね上がる。
1案のみの値上げ要求は通りにくい。
「選べる資料」を作ると交渉が驚くほどスムーズになる。
改定単価、開始日、運用ルールなどは必ず文書化する。
提案資料は派手さより“整理されているか”が重要だ。
資料は“荷主の社内稟議を通す武器”であり、シンプルかつロジカルであることが最重要だ。
値上げが即OKになるケースは多くない。代替案を必ず用意しておく。
一気に20%ではなく、半年ごとに小刻みに実施する方法。
“公平な仕組み”として受け入れられやすい。
赤字案件を放置すると会社全体が傾く。代替案件確保の上で撤退するのも経営判断の一つ。
物価高騰によってドライバーの負担が増している今、軽配送会社が安定稼働を維持するには適正運賃の確保が必要不可欠だ。
原価計算 → 課題把握 → 提案資料 → 交渉 → 文書化
この流れを丁寧に行うことで、無理な値上げではなく“双方にとって合理的な運賃改定”が実現できる。
それでは本日も安全運転で!ごきげんよう。

中島 一
運送会社の役員として10年以上にわたり物流業界に携わり、3PL事業も展開。物流の上流工程からラストワンマイルまで一貫して対応できる幅広い知見を持つ。
また、行政担当者や各業界の経営者を交えた勉強会を主催し、現場課題から政策動向まで多角的に把握。実務と行政の両面から、物流ビジネスの最適解を探求している。
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