スズキ エブリイPC 64V
2025.08.04
経営連載企画
軽貨物業界では、案件単価や配達件数ばかりに注目しがちですが、実際にはそれだけでは立ち行かないのが現実です。特に法人として事業を運営する以上“お金の管理”は経営の根幹です。
この連載では、軽貨物法人の経営者が最低限おさえておくべきお金の知識、収支の考え方、節税、資金調達などを体系的に解説していきます。
軽貨物事業を法人化して運営していると、複数ドライバーの管理や営業活動、経費処理などが複雑になり、単純な「売上」だけでは利益が見えてこなくなります。
むしろ、売上が増えるほど経費も増え、気づけばキャッシュが足りない――なんて事態も。だからこそ「粗利」と「実益」の考え方が不可欠です。
法人経営では、複数台の車両や外注ドライバーを使っているケースが多いため、案件ごとの利益管理が必要です。
特に重要なのが「業務委託報酬(外注費)」です。多くの場合、売上に対して一定の割合(例:80〜90%)でドライバーに支払われるため、売上が増えれば外注費も比例して増加します。
このため、売上総額だけを見ていても利益が把握できません。案件ごとの粗利率(=売上−外注費)を管理することが重要です。
【補足】
法人になると、個人事業主にはない固定費が増えます。ここを把握せずに拡大路線に走ると、黒字倒産のリスクも高まります。
【主な固定費例】
加えて、消費税・法人税・住民税などの納税スケジュールを見落とすと、資金ショートに直結します。
法人の利益は「帳簿上の黒字」であり、必ずしも手元に現金が残るとは限りません。売掛金の回収タイミングや税金の発生月など、キャッシュフローの見通しも含めて経営判断する必要があります。
請求サイトが遅い取引先ばかりだと、売上はあるのに資金繰りが詰まる事態になりがちです。日次・週次でキャッシュ残高と支払予定を管理する体制が求められます。
売上を伸ばすだけでは会社は潤いません。
この3つを意識しなければ、見かけの売上に振り回され、肝心の“手元に残るお金”がゼロという事態になりかねません。
利益構造をしっかり把握し、資金繰りを安定させれば、軽貨物法人は十分に伸びる業態です。運行管理体制や案件選定の工夫によって、営業利益率10%以上を実現している会社も少なくありません。
数字に強い経営者は、外部環境の変化にも柔軟に対応できます。経営は“感覚”ではなく“分析と戦略”です。次回は「インボイス制度と消費税」について解説します。
それでは本日も安全運転で!ごきげんよう。

鈴木 徳俊 軽バン工房の機械係
45歳。軽貨物業界の現場を知る一人として、リアルな経験をもとにブログを執筆。日々の業務や業界の動向、事業者やドライバーにとって役立つ情報を発信している。
趣味はスーパー銭湯巡り。日帰り温泉も含めて、ゆっくり足を伸ばしてリラックスした後に、ビールを流し込むことが休日の楽しみ。
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